親から受け継ぐちからのはなし(東洋医学の基礎編⑤)
*- …-* こんばんは。月の子です。 *- …-*
今夜は人の生命力に深く関わる「腎」についてのお話です。
体力増進と鹿茸
体力が低下すると腎の弱まりから、直接腎を補う漢方を処方されることがあります。漢方薬に使われる「鹿茸(ろくじょう)」は生え始めた鹿の角のことです。鹿角になる前の角袋の状態で切り落とします。角袋は有機分が多く、鹿角まで成長すると骨に近い成分になります。また、「ニンジン」も滋養強壮のために処方されることがあります。漢方薬に含まれるニンジンとスーパーに売られている人参は違うものです。宇宙飛行士も体力を極限まで使うため、シベリア人参を服用していた人もいたとか。
漢方薬に興味のある方は専門家さんに相談してから試すことをおすすめします。症状が同じでも人によって合う漢方薬が異なることがあるためです。
西洋医学の腎臓と東洋医学の腎のはたらき
腎臓に発育や成長の働きがあるイメージが個人的にないため、比較してみることに。
西洋医学の腎臓のはたらき
○尿をつくる
○血圧を調節する
○ビタミンD3*1の活性化
○血液をつくる働きを助ける
○体内環境を一定のバランスに保つ
東洋医学の腎のはたらき
○成長・発育・生殖をつかさどる
○性機能や生殖機能の周期的変化(排卵、月経とか)
○骨や歯、髪の成長、末梢神経や大脳機能(腎精)
○加齢による変化(17歳から32歳くらいが発育のピークといわれている)
○水(津液)の代謝機能(津液のもとが蓄えられている)
〈流れ〉肺が雲のような役割をしている。その雲から雨(津液)が落ちてくる⇨(粛降)雨(津液)を腎が受け止めている。⇨雨水は腎に溜められる。津液を腎陰という。太陽に当たる心の熱も蓄えている。(腎陽)⇨腎陰が腎陽によって温められて気化することで脾に送られ津液になる。
身体全体における水分のもと⇨腎陰
身体全体における熱のもと⇨腎陽
「先天の精」と「後天の精」
中医学の腎は発育や成長に関わるとされ、生命力の元になると言われています。その腎を働かせるもとになるものに「精」があります。「先天の精」と「後天の精」に分かれています。
○先天の精⇨親から受け継いだもの
○後天の精⇨食べ物から得られるもの(水穀の精微)
「先天の精」と「後天の精」は体内で結びつき、「腎精」になります。「腎精」が気血水(津液)のもとになると言われています。
後天の精が足りないと加齢現象や高齢になって髪や歯が抜けたり、腰痛、不妊症になったりします。
先天の精が足りないと成長不良やおねしょ、小児喘息など。
腎精の不足は未熟児や早産により母から受け継ぐことができなかった場合や、体を酷使する生活を送っていても腎精が消耗します。
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腎の不調
○腎陰の不足で津液が不足する。水分不足。⇨腎陰虚(めまい、耳鳴り、腰のだるさ)
●心に影響が及ぶ⇨腎陰虚の症状+動悸、不眠
●肺に影響が及ぶ⇨腎陰虚の症状+せき、口のかわき
●肝に影響が及ぶ⇨腎陰虚の症状+頭痛、目のかすみ
○腎陽が不足する。熱不足。⇨腎陽虚(虚弱、冷え、めまい、耳鳴り、腰のだるさ)
●心や脾に影響が及ぶ⇨腎陽虚の症状+水溶便、食欲低下、むくみ
腎の不調の対処
腎陰虚
睡眠不足。水分不足からくるめまい、耳鳴り、乾燥肌、便秘が特徴。身体を潤す食材をとる。早めに就寝して睡眠を多くとる。
腎陰虚を補う食べもの
れんこん・山芋・トマト・小松菜・ゆりね・豚肉・鶏肉・黒豆・黒ごま・りんご・ぶどう・梨・くるみ、など
香辛料の取りすぎは体の水分を奪うため控えます。味があっさりしている野菜中心の食事に切り替え、果物や野菜から水分を取り、余分な熱は冷ますように努めます。酸味と甘味のある果物は身体を潤します。
腎陽虚
熱不足からくる冷えと頻尿が特徴。脾虚に比べ津液の影響が大きいため、活血作用、補血作用、利水作用、身体を温める温性のある食材をとる。身体を冷やさないこと。
腎陽虚を補う食べもの
にら・ねぎ・らっきょう・くるみ・鹿肉・豚マメ(豚の腎臓)・羊肉・エビ・マグロ・うずらの卵・黒砂糖⇨飲料に加えると良い。
ただ血液から老廃物を作り出すだけではなかったですね。いつもお世話になっているから労いたいものです。
*- …-* それでは、よいゆめを。*- …-*
*1:小腸のカルシウムの吸収を助けるはたらきをする。魚介類に多く含まれる。